今後のクルーズ再開の見通しについて その③
先週、全国の港湾管理者等で構成される「全国クルーズ活性化会議」(会長 林横浜市長)がZoom会議で開催され、66港湾が参加されたようだ。 趣旨としては、クルーズ再開に向けた各港湾からの聞き取り。
現在、海外では各クルーズ会社が既にCDCなどと共に協議の上、ガイドラインを既に発表しつつある。
翻って日本では、ダイヤモンド・プリンセスの映像を嫌と言うほど外出自粛期間中に繰り返し何度も見た日本人が実に沢山いるうえで、受け入れ港湾としても寄港地の県民、市民をいかに感染症から守るか…県民、市民の理解が得られずに再開はあり得ない。
勿論、乗客、乗員、CIQ関係とて同様だ。
政府は会見で、6/19の他県移動制限解除するやいなや、早々と2030年までにインバウンド観光客6,000万人、経済効果15兆円という野心的とも言える目標値を口にしている。
本気で言っているならば、今回のクルーズ感染症対策を国土交通省だけで成し遂げようとする姿勢は、諸外国のクルーズ再開に向けた動きからするとかなり無理があり、厚生労働省、経済産業省、観光庁、CIQ関係省庁全てがテーブルにつかなければならない。
JOPA(日本外航客船協会) は、坂本会長筆頭(郵船クルーズ代表取締役)に各クルーズ会社と協議の上クルーズ再開に向けたガイドライン(以下リンク参照)を作成し、政府に提出している。外航客船協会と言っても郵船クルーズ、商船三井客船などの邦船が主体。
http://www.jopa.or.jp/document/covid19-guidelines_final.pdf
過日、郵船クルーズは飛鳥Ⅱの発売を6/12に控えた前日に発売を急遽延期してきた。しかも具体的な再発売日程は未発表。
JOPA会長を務める郵船クルーズ代表取締役坂本氏でさえ、先が見通せない状況のなかで、10月に予定している日本発着のポナン ル・ラペラーズ、ホーランド・ノールダムなど外資系から再開はあり得ないと推測している。
両船共にかなりの上級キャビンを数組のお客様よりすでに予約していただいているので、クルーズ専門会社としてはなんとしても再開して頂きたい。
政府が本気で観光立国目指すのであれば、先ずは此までの霞ヶ関理論を撤廃し、国土交通省だけでなく厚生労働省、経済産業省はじめ「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」のように、全閣僚会議で扱うぐらいの意気込みがなければ、再開はかなり厳しい状況ではないか。
目下、待ったなしの課題が山積しているにも拘わらず国会は閉会してしまった。観光を成長戦略の柱、地方創生の切り札としている以上、閣僚会議を開催してかなり専門性が求められる「クルーズ再開」に向けた指針を示し導いてもらわない限り、地方やクルーズ会社ガイドラインだけではどうにかなる分野ではないことは、北米、オセアニア、ヨーロッパのクルーズ業界の動きを見ていると明確だ。
JOPA正会員の邦船から再開しない限り外資系が先に再開することはあり得ないので、日本船を中心とする日本外航クルーズ客船協議会としても覚悟を決めて、新しいポストコロナ時代のクルーズのあるべき姿を見せ、此れからの観光立国目指す我が国の為に貢献してもらいたい。