乗船日数1000日のクルーズアドバイザーブログ

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NHKスペシャル 「ダイヤモンドプリンセス」船内で何が起きていたのか? 

2020年5月3日(日・祝) 後9:00 
NHKスペシャル「調査報告 クルーズ船~未知のウィルス 闘いのカギ~」と題して、様々な立場のご関係者の方々の取材を通じて実態が克明にされた。


クルーズ手配歴24年、クルーズ添乗歴900日からの私見

その①
カーニバルコーポレーションCEOらは…?

ウィルスによる感染者700人以上・死者13人は、現代クルーズが始まって以来の災害規模だ。また、三菱重工長崎造船所での感染防止の為に下船していないはずの乗組員らが実際にはコスタ・アトランティカより許可を得て下船し、船内はもとより、港周辺に多大なる被害とご心配をかけた後の多くの国民が視聴するNHKとしての総括なので、ダイヤモンド・プリンセス、コスタ・アトランティカのカーニバルコーポレーションCEOアリソン氏または代理人が、クルーズ業界を牽引する雄として、「謝罪」ではなくても良いので、クルーズ業界が二度と同じ轍を踏まない為に、正解な事実とプロとしての見解が欲しかった。メルケル首相のよう、に言いにくい事も正面から語る事で相互理解は必ず得られるはずだ。


その②
どこがイニシアチブを取りスピード感持って対応するのか?

そもそも、外国船に対して日本政府、神奈川県が全面的に前に出て取る必要性があったのだろうか? 
オペレーション機能がある米国本社カーニバルコーポレーション、危機管理部門、ダイヤモンドプリンセス、厚生労働省、神奈川県、国立感染研究所、また船籍を登録している英国 外国クルーズ船の場合、様々な組織が責任対応の対象となる。乗組員、乗客など約30ヵ国以上の人々が乗船する欧米系クルーズ内で感染者が発生した場合どこがイニシアチブを取るべきなのか。また船内で感染者が出ている場合、入港拒否権は地方港にあるのか…横浜港の様にCIQ関係がクルーズ港としてワンストップ窓口として機能している日本を代表する要の港でもこの様な状況、平時にでも、地方港はCIQ関係者、港湾関係者はギリギリ一杯でクルーズ船受け入れをしている状況の中で、人材面、医療面など当然首都圏には及ばない地方港でこういった状況となった場合、どうなるのであろうか…。


今回、英国船籍で米国にオペレーション機能があるクルーズ船だ。厚生労働省は兎も角として、神奈川県、横浜市など港がある地方自治体にも対応の責務が果たして招じるのか?
勿論日本人は、世界の中でも民度が極めて高い国民なので、道義的責任でどこの地方港も日本人としてベストを尽くすのではないかと思うが、「基本」となるマスタープランは早急に 日本政府、WHO、CDC 、CLIA所属の各クルーズ会社と共にマスターを構築しなければならないのではないか。

やがてダイヤモンドプリンセスはじめ各クルーズ会社は夏に向けて運航再開をする予定だが、今回のダイヤモンドプリンセス、コスタコンコルディアを教訓とし、しっかりした対応策が構築されずに、運航再開はご遺族、ご尽力頂いた医療関係者はじめ様々な関係者に対してあまりにも犠牲、代償は大きすぎるのではないか。 
監督なき野球チームではすまない。


その③ 
船は疫病との闘いの歴史 

ギリシャ人は神殿を立てるが、ローマ人は上下水道の完備を神殿づくりより先ずは優先した。此ゆえ古代ローマ人は300年もの間、疫病にさらされなかったと地中海古代史に詳しい作家塩野七生女史は語る。 


地中海での覇権争いが激しかった今から約1,500前から船は疫病との闘いの歴史だ。季節風を追い風に、「いなごの大群」のようにカルタゴ帝国を勇ましくの航した船団が、敵地コンスタンティノープルにすら到着する事もなく、アドリア海域手前、シチリア島あたりで船内に疫病が蔓延しほぼ壊滅的・・・なんて事はしばしば起こっていた。
当時のガレー船には「トイレの様なモノ」はあったにせよ、「清潔」が「命」と直結している事などはローマ人以外は知るよしもない。

当時、コンスタンティノープル傘下の海の都ベネツィアは人や物産の出入りを全面的に閉鎖する事は地中海覇権存亡に係わるのでできず、今回の様に感染者を乗せた船は長い航海から戻っても、サンマルコ広場には上陸させず、ドュカーレ宮殿を遠く眺めながら航行し、ラグーナ湾内にある数々の島の一つ「ラヅァレット」に強制的に40日間隔離。
この「Quarantena」が検疫「Quarantine」の語源だ。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

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