乗船日数1000日のクルーズアドバイザーブログ

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今後のクルーズ再開の見通しについて その④

 今年2020年は、日本海域はじめ、地中海、アラスカなどの海外海域も全滅だろう。 
此処にきて、来春までは恐らく再開できない気配が出てきた。 


 現在、WHO CDC等の諸機関の要請を受け、何処のクルーズ会社も概ね9/15まで運航中止を発表しており、また、いつから再開とは未発表。
 此れからベストシーズンとなるアラスカ、カリブ、ニューイングランドの北米海域、イタリア、スペイン、フランス、ギリシャ、トルコ、クロアチアなど地中海、スウェーデン含むスカンジナビア半島を取り囲むバルト海域も、クルーズ船というより寄港地への下船はクルーズ船客や乗組員にとっても、寄港地側の市民双方共にコロナ感染リスクがかなり高く、パンデミックの可能性がかなり高いので、恐らく再開のチャンスを伺いながらも、9/15からまだまだ延期をしてくる事は容易に想像がつく。


 また、近年人気が高く特に富裕層が探検船には多く、Explore Cruise の聖地「南極」は、世界で唯一「感染者ゼロ」大陸と謳いたいところだが、ブエノスアイレス、サンティアゴ等の南米のホテルがクルーズチェックインとなるが中南米はコロナ感染者の封じ込めが全く効いてないので、此方もこれから冬にかけてがベストシーズンだが恐らく南極もかなり厳しい。
 これらの海域への予約が既に入っているクルーズ専門会社としては、再起をかけているので考えたくもないが、経営者としては楽観論、悲観論は禁物で現実的な航路に経営の舵を切らなくてはならない。 


 来春東京オリンピックに向けてキュナード社QEⅡや、シルバー、クリスタル、ポナン等、世界中のクルーズ愛好家を当て込んで、日本への配船予定は既にある。
 クルーズ会社としては、クルーズで最後に残され未開拓の日本クルーズ海域の魅力に気付いた世界のクルーズ愛好家のマーケットに合わせて、当然厳しい経営環境の中配船してくる。 


 世界のクルーズ市場2,600万の内、約半数はアメリカ1,190万人ドイツ219万人英国193万オーストラリア134万ニュージーランド100万と、世界中のクルーズ市場2,600万人の内、欧米豪で2100万人。カナダの92万ブラジルの45万を合わせると、北米市場は1,327万人で、1,327万人/2,600万→即ち世界クルーズシェアの51%にもなる。


 この世界の約半分のシェアを持つ北米が、今最も感染者率が高い国々。この北米市場が来春果たして国際線に乗って日本へお越し頂けるのか?はたまた、政府が入国を認めるのか?また多国籍のクルーズ客を乗せた大型クルーズ船を地方自治体が入港を認めるのか?
現在の状況を鑑みるとかなり厳しいと思う。 


 各クルーズ船、言ったってビジネス。これ以上収入無くして、この先数ヶ月間港に停泊を続ける事はかなり体力勝負となり厳しいので、何処かでビジネス再開の目処を立てなくてはならない。今後はクルーズ愛好家の心理を考えると、「同じ国籍同士の旅」「感染者が抑えられている国」の周辺海域から始めるだろう。即ち、クルーズ市場が延び盛りのオーストラリア、ニュージーランド海域で、これまでのようなフライ&クルーズではなく、オセアニアの方々を対象としたオセアニア海域だけを航行する そんなモデルから再開するのが現実的だろう。
<以下、コース一例>

翻って、日本のクルーズ市場は何だかんだと言ってもたった32万。
一般的に先進国のクルーズ市場は国内総数の2%~5%に対し、日本の32万は僅かに0.2%。この市場を求めて外資系クルーズ会社が日本人への配船することはあり得ない。来春日本へ配船予定のQE2始め様々なクルーズ船、言うほど日本市場には期待していない。32万人は狂っても大狂いはないので、何処のクルーズ会社もコロナ感染者が最も多い北米大陸への市場依存度が高い。 


となると、来春の日本配船が予定されている名だたるクルーズ船もかなり厳しい状況で確実なビジネスができる海域へと配船先を変えてくる事も想像できる。 


「クルーズ振興における地方創生」「クルーズ船お断りゼロ」此は地方が掲げた訳でなく、国策に基づいて地方自治体の皆様がこれ迄その指針に基づいて県民、市民と共に「おもてなし」など含め物心両面で頑張ってきたはずだ。 
 今度は「クルーズ振興における地方創生」を提唱した側がしっかりとしたクルーズ再開に向けた道標をたてなくてはならない。 


これまで、熱心に日本への誘致を受けてきたクルーズ会社は、今どんな思いで日本を見ているだろうか―。 


まだまだやらなくてはならない課題は山積。
決して逃げてはならない。 
真の観光立国になれるか否か―
今が正念場だ。 


クルーズ業界の一端を担う立場としてクルーズ再開に向け、微力ながら貢献していきたい。

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