アイガー山麓で暮らす様に旅をする〜スイスパスで巡るグリンデルワルト滞在2026〜

〜序章〜
旅には、名所を訪ね、景色を見て、次の目的地へと移動していく旅があります。
けれど、私が長年スイスを訪ねる中で、いつしか惹かれるようになったのは、それとは少し違う旅でした。
一つの土地に腰を据え、その土地の時間の流れの中に身を置くこと。
朝、カーテンを開けて山を見る。

パン屋まで歩く。
列車に乗って隣の谷へ出かける。
夕方になれば、また同じ山を眺めながら帰ってくる。
観光地を「見る」のではなく、その土地でほんの少し「暮らしてみる」。
今回の舞台は、スイス・ベルナーオーバーラント地方、アイガーの麓に広がる村、グリンデルワルトです。

ここへ私は、もう何十年と通ってきました。
初めて訪れた頃から、山の姿そのものは変わりません。しかし鉄道は進化し、ゴンドラは新しくなり、村の暮らしも、観光のあり方も、そして世界も大きく変わりました。
それでも朝になれば太陽は山肌を赤く染め、谷には教会の鐘が響き、斜面では牛たちが草を食む。
その変わらない営みの中に身を置くと、旅を始めた頃の自分と、今の自分とが、どこか一本の線でつながっているように感じます。

今回の旅のテーマは、
「アイガー山麓 暮らすように旅をする」
そして、もう一つの主役がスイスパスです。
決められた観光バスで巡るのではありません。
今日はどこへ行こう。
天気が良ければ山へ。
少し雲が出れば列車で別の町へ。
途中で気になる場所を見つければ、そこで降りてみる。
鉄道、バス、湖船を自分たちの足として使い、スイスという国そのものを感じていく。
この自由さこそ、滞在型の旅のおもしろさだと思っています。
これから何回かに分けて、グリンデルワルトでの日々、山岳鉄道、村の暮らし、食、環境、酪農と観光、そしてスイスという国の仕組みまで、私自身が歩き、見て、感じたことを綴っていきたいと思います。
単なる旅行記ではなく、
「なぜ、この村に何度も帰ってきたくなるのか」
その答えを探すシリーズになればと思っています。